日本人の平均寿命はどれだけ延びてきたのか?
日本人の平均寿命は安土・桃山時代と比べ2.5倍に延びた
「人間五十年 下天のうちを比ぶれば 夢幻のごとくなり ひとたび生を得て 滅せぬもののあるべきか」と桶狭間に出陣する前に信長がこの一節謡いながら舞う場面はつとに有名ですが、この一句から多くの人は当時の平均寿命が50歳前後だと思われていると思います。
しかし、この句の本当の意味は「人間の一生は所詮五十年にすぎない。天上世界の時間の流れに比べたらまるで夢や幻のようなものだ。命あるものはすべて滅びてしまうものなどだ」であり、当時の日本人の平均寿命を述べたものではなかったようです。
このグラフにあるように信長が生きていた安土・桃山時代の平均寿命はわずか35歳前後でした。現在の平均寿命が80歳を超えているのと比較すると信じられないほど短い印象を受けますね。
これは当時の乳幼児死亡率が高く多くの子供が成人まで生きられなかったことが原因で、その背景には現在のような乳幼児の感染症に対する治療法がなかったこともあるようです。こう見てみると現在の長寿命化に医学の発達が寄与していることがうかがえます。
このグラフから戦後の混乱期を過ぎた後の乳児と新生児の死亡率が各段に下がっていることがお分かりになると思います。また、こうした背景には1963年に日本で初めて皆保険制度(国民健康保険制度)が施行され、誰でもが自己負担が少ない医療を受けられるようになったことが大きく影響しています。
今や日本人の寿命は安土・桃山時代と比べれば何と2.5倍にも延びています。
そして、現在の日本人の平均寿命は男性が81.4歳、女性が87.5歳であり、その平均寿命は世界でトップ(2021年)と大変長寿命な国なのです。
先端医療技術の発達で私たちは200歳まで生きられる可能性が・・・
この医療の発達が私たちの寿命を延ばすことに大きく寄与してきたことは否めない現実であり、現在はさらに寿命を延ばす研究が世界中で行われていて、NMNはそうした寿命を延ばす可能性を秘めている物質のひとつとして注目を浴びている。
NMNについての詳しいことはこちらのページを参照していただきたいが、果たして本当に人生200歳時代が到来するのだろうか?
老化研究の世界的第一人者であるデビット・A・シンクレア博士が現在の医療先端技術が適用された場合、人の寿命がどれだけ延びるか予測している。
シンクレア氏は以下の3つの点から寿命は33年延び、将来的には現在の世界の平均寿命が80歳から113歳に伸びるだろうとしている。
- 情報技術の活用
車に乗っているときの心電図モニターを利用して緊急時の連絡を円滑に取ることで早期の病気発見・治療。スマートウオッチの活用で身体計測モニターが異常を知らせ健康維持を図るなどの手段で寿命を延ばす。 - 長寿遺伝子を活性化させる物質の摂取
最近話題になっている「NMN}のような長寿遺伝子を活性化させるサプリメントを摂取することで寿命を延ばしていく。 - 寿命を延ばせるという意識の広がり
多くの人が寿命を延ばせるという認識を持つようになり、健康に対する意識の高まりがカロリー摂取の抑制や適度な運動などによる健康管理が進む。
以上のことから寿命が約33年延び、平均寿命が133歳になるだろうとシンクレア氏は予測している。
この中で最も大きな要因が2番目の「NMN」の摂取効果だろう。NMNの摂取により寿命が約10~40%延びると予測しているからです。そして、現時点で健康寿命を延ばせる可能性のあるサプリメントとして実用化されているのは「NMN」だけなのです。
現時点で予測されている113歳と言う寿命もこれから先の医療技術や遺伝子技術の進展によって将来的には150~200歳まで生きられる時代が訪れる可能性も否定できない。もし、そうなったときにどう生きるかが問われることになり、現在の貧富の差や環境問題の解決も課題となってくるだろう。
しかし、それでも今より健康で長生きしたいという人類の願望が途絶えることはないでしょう。
次章では「老化とは何か?」という点に焦点を当てて解説していきます。
→不老不死の科学(3) 老化が起こる本当の原因は?